切れ味が落ちたパン切り包丁、「裏押し」で波刃を研いでみたっ!
■15年以上前から使ってる「ウェンガー」のパン切り包丁
こちらが我が家のパン切り包丁で、かれこれ15年以上使用しているものです。当時パン教室に通っていた母が先生とのお付き合いで2本買って、そのうちの1本をもらいました。
本当に切れ味も良くて長年愛用してきましたが、さすがにここ最近は見た目でもはっきりわかるほど波刃が丸みを帯びてきて、切れ味も落ちてきました。
パンを切るときに刃がパンに食い込まず、これなら普通の包丁で切る方がまだマシじゃん!という感じ。そんなワケですっかり出番もなくなったこのパン切り、せっかく母からもらったものだし、包丁屋さんに「研ぎ」に出して復活させようと思ったのですが…
■波刃包丁は研げない!?
調べてみると、この手の波刃は研げない、というのが一般的な見解でした。正確にいうと研げないのではなく、刃付けができない、ということのようです。なんとも残念!
そんな中で、新品のような切れ味とまではいかないけれど、いくらかは切れ味が蘇るという研ぎ方を解説してくださっているサイトを発見しました!
こちらの「包丁のトギノン ブログ」という包丁製造販売店さんのブログ。
何軒かは、波刃の研ぎを引き受けている研ぎ屋さんもありましたが、それは刃付けではなくて「トギノン」さんのいう「裏押し」の方法のようでした。だったら砥石さえあれば特別な道具は不要なので自分でやってみようか!と思い立った次第です。
■ダメもとで研いでみた!
今まで大活躍してくれたし、このまま捨てるのは忍びないので「トギノンさん」の説明通りに研いでみて、それでもダメだったら新しいものを買おう!と決断し、早速研ぎの準備を。
ちなみに我が家にある砥石は、中砥石と仕上げ砥石がくっついた家庭用のお手軽タイプ。本当はもっと幅広の砥石が欲しいのですが、砥石って想像以上に高価なんですよね・・・それで両方くっついたこのお買い得版の砥石を使っています(苦笑)。↓
「トギノンさん」の説明にあったように、「裏押し」という方法で中砥石、仕上げ砥石の順に研いでみました。
研ぐ前は、指の腹で刃の上をなぞっても引っ掛かることなくツルンという感じだったのですが、「裏押し」後は、しっかり食い込む感じが戻りました。とりあえずロールパンで試し切りしてみると、おぉ!潰れることなくちゃんと切れてる!!
もちろん新品の時のような切れ味ではありませんが、もう少しは使えそうなので、この「裏押し」も通用しないところまでは、使い続けようと思います!
追記(2019.1.11):トマトもバッチリ綺麗に切れる切れ味に戻りました!
■包丁メーカーさんなら研ぎ直しができるのか?
今回、新しいパン切り包丁を買うことも視野にあったので、いくつかのメーカーさんのサイトも見て、買うならどれか!も含めて検討していたんです。で、その時に気になっていたのは、次の2点。今度買うものは長く使えるものにしたい、という思いがあったので…。
・自社ブランドのパン切り包丁だったら研ぎ直しが可能?
・そもそもパン切り包丁のアフターケアについての記載がある?
そんな思いを抱えながら包丁メーカー・ブランドのウェブサイトを見ていたのですが、パン切り包丁のアフターケアについての記載がないところが殆どなんですねー! まあやっぱりな、という感じでしたが。きっと、メインの包丁ではないので「使い捨て」という位置付けで捉えているのでしょうね。
その中で、とても参考になったサイトが4つあったのでご紹介させていただきます!
・グローバル(吉田金属)
世界が認めた包丁ブランド、「グローバル」。我が家にも1本だけ娘用の包丁があります!
このブランドの洋包丁シリーズに「G-9パン切り包丁(刃渡り22cm 9,000円)」というものがありました。そして、こちらのグローバルさんのサイトには「研ぎ直し料金」のページがあり、G-9パン切り包丁研ぎ直し料金 1,500円+税と明記されています。
こんな風にはっきり表示していただけると安心感ありますよね。さすが、グローバル。
こちらもとても有名な老舗包丁ブランド「日本橋 木屋」。パン切り包丁は次の2種類で、「バラエティー パン切(刃渡り250mm 樹脂柄 4,320円)」、「No.180 パン切 エーデルワイス(刃渡り225mm ポリアセタール樹脂柄 8,640円)」。そして、「木屋」のサイトにも「研ぎ・修理価格表」ページがあり、それによるとパン切り包丁の研ぎ直し料金は4,320円 以上 お預かり期間約2ヶ月とのこと。
研ぎ直し料金が4,320円 以上ってことは…上記の「バラエティー パン切り包丁」が新品で買える値段!? この料金で約2ヶ月掛かるということは、きっと刃付けからやり直してもらえるんだろうな、と想像しましたがどうなんでしょうね? 今度機会があったらお問い合わせしてみます。でもそれだけ「研ぎ直し」が大変ということが分かったので、とても参考になりました!
・藤次郎
こちらは新潟の燕市の包丁メーカー「藤次郎」。公式サイトに、「パン切り特集」というページがあり、何故「藤次郎」では「パン切り包丁の研ぎ直しを行わないのか」について詳しい記載がありました!
要点をまとめると、「新たに刃付けをするには、全ての波刃を削り落とし、再度新しい波刃をつけなくてはいけません。この場合の工賃が非常に高くなるため、基本的に研ぎ直しを行わないのです。」ということでした。ですが、家庭での研ぎ方として「棒砥石などを利用して波刃一つ一つを研いでいく方法」と「裏押し」が紹介されていました。
大変わかりやすい解説で、さすが評判の会社だなーと感心しました。
・包丁工房タダフサ
実は、今回調べるまでこちらの会社のことは知りませんでした!こちらの「HK-1パン切り包丁(刃渡り23cm 9,500円税別)」が大変な評判になっていて知った次第です。この「HK-1パン切り包丁」は刃先の方にだけ波刃がついていて、 あとはまっすぐな刃。そのため、固いパンでも波刃のようにパンくずが出ないらしいんです。で、まっすぐな部分は自分でも研げますし、刃先の波刃がこぼれてきた場合でも、1,500円+送料・諸経費・消費税で研ぎ直してもらえるそうです。
今回改めて色々な包丁ブランドのサイトをチェックしましたが、パン切り包丁が研げない理由については、詳しく書かれてないところが本当に多かったです。というか、そもそも研ぎ直しサービスについてのページがないブランドも多々ありましたね…。でも、
そのことが却って参考になりましたけど(苦笑)!
まあ、私の方は「裏押し」で切れ味が回復し、もうしばらくは使えそうなのでウェンガーのパン切りを継続して使うことにします!
今度、新しいパン切り包丁を買うときは…うーん迷うなぁ(苦笑)。
■頑張って研いでも、切れ味がアップしない原因は角度!? ならば角度が固定できるホルダーを!
包丁つながりのお話になりますが、包丁を研ぐ時に角度が固定できるホルダーをご存知でしょうか?
砥石と包丁の角度が合ってなかったり、研ぐ際にグラグラと角度が変わってしまうと、いくら頑張っても刃先が研げないのですが、こちらのホルダーを包丁の嶺に装着すると、砥石と包丁の角度が固定され、コツや経験なしでも簡単に研げるようになる、という商品。
金属製のものやナイロン+セラミック製のものなどがありますが、アマゾンではこちらが大変評判が良いようですね!513件のカスタマーレビューで星4つという高評価!
私が持っているのは貝印のものでステンレス製。かつては相当お世話になりましたが、おかげさまで最近はホルダーなしでも角度が固定できるようになったのであまり使うこともなくなってしまいました。。。
こちらは装着する際にちょっと力がいる、というかクリップの挟む力がとても強くて、取り外ししにくいのが難点でした。装着するのにとにかく力を入れるので、もし手が滑ったらと…考えるとあんまりオススメはできないかなー!?
↓こんな感じで嶺に装着して研ぎます!
《2019.8.6追記》
波刃を研ぎ直してくれる研ぎ師職人の方を発見しました! 岐阜県の「春日刃物」さんです。しかも研ぎ直しの料金がとても良心的な価格だったので追記しておきます。
HPを拝見したところでは、波刃包丁の当初の刃型を使って研ぐのではなく、波刃一つ一つを研ぎ直していく、という研ぎ方のようです(私の印象です)。波刃24cmまでは1,000円、27cmまでは1,100円、30cmまでは1,200円、36cmまでは1,400円。送料は、送るのは依頼者負担、返送は一律600円のようです。税別かどうかは書かれていなかったので、不明です。詳細は下記のリンクでご確認ください!
「春日刃物」さんのように、明確に「パン切り包丁研ぎ直し」と謳っている研ぎ師さんは、ありがたい存在だと思います。思い入れのある波刃包丁を、蘇らせたい方には朗報かと思い追記しました!
私も母からもらったウエンガーの包丁、先々研ぎをお願いしたいと思って次第です!